犬と山遊びに行く時の注意点について

防災知識

犬と山遊びに行くときの注意点について準備とマナーを解説

「ワンちゃんと山登りしてみたい」「自然の中で一緒にリフレッシュしたい」そんな飼い主さまにこそ知ってほしいのが、“山”という環境が持つリスクと、そこに潜む災害時の視点です。山は美しい場所であると同時に、都市とは異なる自然災害のリスクを含んでいます。この記事では、ワンちゃんと安全に山で過ごすための注意点を、防災の視点からも交えてお伝えします。

山遊びに行く前の準備

山は平地とは異なる環境であり、予測できない自然のリスクが多く存在します。そのため、ワンちゃんと一緒に安全な山遊びを楽しむためには、出発前の準備が非常に重要です。万が一の事態にも落ち着いて対応できるよう、日頃から防災意識を高めることも山遊びの一部として考えることが大切です。

準備段階から「いざというとき」の行動をイメージすることで、ワンちゃんを守るだけでなく、飼い主さま自身の安心にもつながります。装備だけでなく、気持ちの備えを整えることで、山での体験がより楽しく安全なものになります。

ワンちゃんの健康状態と登山適性を確認する

山に行く前にまず確認したいのが、ワンちゃんの健康状態と山に適した体かどうかです。短頭種やシニア犬、小型犬は、勾配のある登山道や長時間の移動には不向きな場合が多く、事前の健康チェックは重要です。特に心臓や関節に問題がないかを確認しておくことが、防災という観点でも大切になります。

ワンちゃんに適した登山ルートを選ぶ

急な斜面や岩場が多い登山道は、滑落や足の負担など危険が多いため、ワンちゃんと一緒に山遊びをする際には避けた方が無難です。特に濡れて滑りやすくなっている岩場や、階段状の段差が続く道は、ワンちゃんの足腰に大きな負担をかけてしまいます。まずは初心者向けの整備されたハイキングコースや、傾斜が緩やかで距離の短い周回ルートを選びましょう。

事前に地図や登山アプリでルートの標高差や距離、所要時間を確認することもおすすめです。また、ペット連れの入山が可能かどうか、途中に休憩できるベンチや水場があるかなどの情報もチェックしておくと安心でしょう。ワンちゃんの体力や年齢、普段の運動量に合わせた無理のないスケジュールを立てることで、楽しく安全な山遊びを実現できます。

山でのマナーと安全対策

山遊びのルールを守る犬

ワンちゃんと一緒に山を訪れる際には、自然環境と他の登山者に対するマナーが求められます。山は多くの人が共有する場所であり、一部の心ない行動が大きなトラブルや苦情につながる可能性もあります。特に、動物が苦手な人や体力的に余裕のない登山者にとっては、ワンちゃんの存在がプレッシャーになってしまうこともあります。

また、山は自然のままの環境であり、動物の排泄物や吠え声が他の野生動物に影響を与えることもあります。そうした影響を最小限にするためにも、飼い主さま一人ひとりが「自然と共に楽しむ」という意識を持つことが大切です。さらに、万が一の災害時には、マナーを守る行動が助け合いの姿勢や落ち着いた避難行動にもつながります。

リード着用は絶対|ノーリードが招く危険

山では野生動物や他の登山者と遭遇する可能性があります。リードなしで歩かせると、転倒・迷子・トラブルのリスクが一気に高まります。特に災害時の避難行動にも関わるため、GPSタグ付きの首輪や迷子札の装着もセットで備えておきましょう。

他の登山者や環境への配慮を忘れずに

すれ違う登山者や他の動物に吠えてしまうワンちゃんは、他の方への配慮として距離をとったり、一時的に座らせたりして落ち着かせましょう。挨拶は飼い主さま同士で行い、ワンちゃん同士の接触は無理にさせないのが山でのマナーです。

山の環境に応じた装備と対策

山は都市部とは異なり、気温や天候の変化が激しいうえ、足元の状態も複雑です。急な天候変化や岩場、ぬかるみ、落ち葉による滑りなど、予測できない要素が多くあります。そのため、ワンちゃんと飼い主さまが安心して山遊びを楽しむためには、装備の充実が欠かせません。

特に標高が高くなると気圧や気温も大きく変化し、ワンちゃんが急に震えたり、疲労のサインを出すこともあります。そうした状況に備えるためには、装備だけでなく、体調の小さな変化を見逃さない観察力も必要です。また、装備は一度揃えて終わりではなく、行き先や季節、天気予報に応じて見直しを行うことが、安全な登山に直結します。

天候・気温変化への備え

山の気候は変わりやすく、急な気温変化や雨風はワンちゃんにも大きな影響を与えます。犬用のレインコートや防寒ウェア、滑り止め付きのブーツを用意しておくことで、予想外の事態にも対応できます。また、登山ルート上に緊急避難場所があるかどうかも事前に確認しておくことが、防災行動につながります。

水分補給と熱中症対策

山歩きではワンちゃんも飼い主さまも予想以上に水分を消耗します。30分〜1時間ごとにこまめな水分補給を意識し、折りたたみボウルの携帯もおすすめです。脱水症や熱中症を防ぐためにも、涼しい時間帯の行動を心がけましょう。また、保冷剤やクールベストなどを活用すれば、体温管理にも役立ちます。

排泄と衛生管理のマナー

ワンちゃんと一緒に山を歩く際は、排泄マナーと衛生管理が非常に重要です。自然の中で過ごすからこそ、私たち人間が「来たときよりも美しく」を意識し、他の登山者や野生動物に配慮した行動が求められます。排泄物をそのままにしておくと、自然環境への悪影響はもちろん、感染症や害虫の発生原因にもなります。また、他の登山者が不快な思いをしないためにも、日頃からのマナーとして「持ち帰る習慣」を身につけておくことが大切です。

ワンちゃんの排泄物は必ず持ち帰ろう

山では排泄物が自然に分解されにくいため、必ず持ち帰るのが基本です。におい漏れ防止袋を活用し、周囲の登山者や環境への配慮を忘れずに。災害時にも同じマナーが求められるため、日常から“持ち帰る習慣”を身につけておくと防災意識の向上にもつながります。

トイレのタイミングも考慮する

山ではトイレのタイミングをコントロールしづらいため、事前に排泄を済ませておく、こまめに休憩をとるなどの配慮も大切です。

こういった際に役に立つトレーニングがコマンドでのトイレトレーニングです。
コマンドでトイレを促すことが出来れば、遊びに出かける際や車移動、もちろん避難の際にもとても役に立ちます。

山での経験が“防災力”につながる

山遊びを通して防災訓練をする犬

ワンちゃんと山遊びを楽しむことは、ただのアウトドア体験ではなく、“防災意識”を自然に高める時間にもなります。楽しく遊びながら、いざという時に備える力を育てておくことが、ワンちゃんと飼い主さま自身の命を守ることにつながります。

今日からできることを、ひとつずつ。 山遊びの中で「防災力」も磨いていきましょう。

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